第1部 2つのスカラーポテンシャルを使ってのWhittakerの電磁場表現について 

  he Modern Whittaker papers

    #2 On Whittaker’s Representation of  the Electromagnetic Field in Terms of Two Scalar PotentialsPart 1

 

概論

       古典的真空における電磁場の縦成分の存在について論考される。電磁気学のU(1)対称ゲージ理論において、その例は2つのスカラーポテンシャルを使っての電磁場の解析から導かれた、Whittakerの定常波とジャクソンによる有限側面領域を持つ変調平面の分析である。電気力学のO(3)対称ゲージ理論においては、伝播方向の軸に沿って縦向きの基本的スピンである、位相自由な基本的な場が存在する。よって、輻射領域における有限側面領域の平面波として電磁波を捉える事は、数学的な理想であり、真空における縦成分を誤って除外してしまう限られた部分理論となる。もし光子に有限の質量が割り与えられたならば、Proca方程式やHiggs機構により真空に縦波が現れる。

 

1.序論

 

  放射領域における古典電磁気学で受け入れられている見解{1,2}は、縦波成分を持たない有限側面領域の横波平面波を用いて与えられる。この概念は、源項(source term)がゼロである場合のマックスウェル-ヘビサイド方程式の数学的解である。不幸にして、平面波を輻射領域において物理的に意味を持つ概念として言及し、真空において源(原因)のない場(結果)である源泉のない領域に言及する事が習慣化している。この受け入れられている見解は、輻射領域における電磁場放射の縦波成分が存在しないと主張する。この広く受け入れられている見解は、無限側面領域を持つ平面波の数学的理想化の結果である。ジャクソン{3}は、もし輻射領域における電磁場が側面領域において横波成分が無限発散しないように、徐々に変調されたならば、マックスウェル-ヘビサイド方程式から、輻射領域の真空中に縦波進行波が現れる事を示した。この結論はここ10年間で何人かの学者により、マックスウェル-ヘビサイド方程式とその修正方程式についての非常に異なる解法によって繰り返し導かれてきた。{4−12}

 

  現代的解釈による古典電磁気学がU(1)ゲージ理論であるという見解は、平面上の回転群であるO(2)と同型のU(1)であるところの、限定的に認められている横波平面波についての見解に依存する。もしマックスウェル-ヘビサイド方程式自身から縦波成分が得られたならば、これらはU(1)ゲージ理論により表現する事は出来ない。100年近く前にWhittaker{14,15}により、マックスウェル-ヘビサイド方程式から、ダランベールの波動方程式の最も一般的な解の表現として、真空中に縦波定常波が存在する事が示された。ジャクソンの良く知られた縦波真空波の証明も又、ゲージ理論における2次の直交群O(2)が、SU(2)の被覆群であるところの3次元空間における回転を表す直交群O(3)に置き換えられるべきであると示している。この見解は、古典的電磁気学がゲージ理論によると、内部ゲージ空間が通念のマックスウェル-ヘビサイド方程式におけるスカラー空間でなく、ベクトル空間であるヤンミルズ理論であるという事実を導く。それ故にここに反復的手順があって、マックスウェル-ヘビサイドの見解(O(2)内部ゲージ対称性)はその最初の段階である。ヤンミルズの見解(O(3)内部ゲージ対称性)はその第2段階である。この最初の段階が古典的電磁気学の完全な表現ではなく、どの反復手順の場合でもそうであるように、第2段階のものがより正確であると暗示する多くの経験的証拠{16−20}が手近にある。ヤンミルズの理論を古典電磁気学に応用した結果は何人かの学者により広く研究発展されてきている。{21−24}

 

  第2章で、マックスウェル-ヘビサイド方程式から、真空における縦波定常波の一般解の存在を示すWhittakerの研究{14,15}が考察される。同じ方程式から縦波進行波の存在をも又示すジャクソンの研究{3}が考察される。 これらの例は、古典的電磁気学の今受け入れられているO(2)ゲージ理論がO(3)ゲージ理論に置き換えられなければならない事を示しており、第3章で議論されるが、電磁場に新しい基本的なスピンを与えるものである。群O(3)はSU(2)の被覆群であり、その内部での電磁気学はBarrett{16,17}により発展されてきた。Higgs場でのSU(2)からO(3)への対称性の崩壊は、Whittakerの2つのスカラーポテンシャルを使うのと似た電磁気学の観点を与えるが、これはCrowellによる研究により発展させられたもので第3章で述べられる。論考の章では、電磁場の性質についての新しい考えを使って、Whittakerによる仕事を発展させる。

 

2.輻射領域における縦波定常波

 

  Whittakerの研究{14,15}はBarrett{16}により良く整理されている。Whittakerによる進展は力のポテンシャルが進行波、及び真空中の縦波である定常波の両方を使って定義できる事を示した。彼は又、どんな電磁場成分もたった2つのスカラーポテンシャルの微分を使って表現でき、引力の逆2乗則に関係している事を示した。彼は真空中のダランベール方程式のポテンシャルの一般解を以下の形式で与えた。

                      (1)

 

       ここにfは以下の3つを独立変数に持つ任意の関数である。{文献14}

       ,,及び

 

ここには点(a, b, c)に置かれた質量の物体の任意の分布上の任意の点(X, Y, )において、ラプラスの方程式をも満たすポテンシャルである。 解(1)は単純な平面波解に分解でき{16}、距離の2乗に反比例するどのような力に対しても、そのような力のポテンシャルは、真空中のラプラスの方程式とダランベールの方程式の両方を満たす。ポテンシャルは一定速度で伝播する単純平面波群に分解できるが、それらの平面波の和は時間と共に変化しない、縦波方向の真空中の定常波である。故には全域的つまり非局所的定常波{16}及び時間に依存する局所進行波の両方を使って定義できる。{14}

 

  いかにしてWhittakerの一般解(1)が真空中で縦方向の定常波を生成するかを示す簡単な例がある。 これは直交群O(2)やユニタリ群U(1)が、輻射領域において電磁場を表現できない事を示す数学的徴候である。

 

  もし=0かつを真空中の光速とすると、

                                              (2)

p                               (3)

  ここでv = v 定数とすると、

                     = 2p f(,0,v)                             (4)

    fはその独立変数の任意の関数であるから、

sin() と取れる。                        (5)

 

         cosu = -1として同じ事を繰り返すと

sin()                                  (6)

 

極限的微小角度では      »                                     (7)

                                   »                                   (8)

 

 

これは縦(Z)方向には一定の位相(変化)無しの「定常波」であり、よって真空中の縦波解は

ダランベールの波動方程式に対しては可能である。特定の点(X, Y, )において、

 

                      V−V» 2Z                                    (9)

 

適正な単位補正のために、以下のようにする必要がある。

;                    

;                                 (10)

                     −V» ;                       

 

これは波数(訳注:単位長あたりに含まれる波の数)を持った縦(Z)方向の定常波である。

それは時間に依存(又時間と共に進行)しない。(1)の一般解からの出る進行波解の例は以下の如く与えられる。

              i(wt-kZ)                                                                  (11)

                             -i(wt-kZ)       

 

これらスカラーポテンシャルの特定の組み合わせは、現代的ベクトルポテンシャルを導く。

(ii +j)i(wt-kZ)                                           (12)

* (-ii +j)-i(wt-kZ)                                                (13)

 

(3)電磁気学{21−24}においてこれらのポテンシャルは矛盾なく、真空場の縦方向に位相の無い成分を導出する。

 

                   (3)-i* -ig(1) (2)                                              (14)

 

ここには場とその生成源である電子とを結びつける係数である。{21−24}

 

  方程式(10)のサイン波は、中でも対称変換により生成されるので、その差が定常波であるところの反対方向に進む2つの波を表す。極限的微小角では、即ちsin(X) » Xであり、この定常波はであって、これは明らかに進行方向軸の向きである。これは自由空間で起こり、マックスウェル-ヘビサイド方程式の結果であるので、後者は輻射領域において、現在受け入れられている見解{13}のようにU(1)やO(2)ゲージ場対称で表現される事はできない。方程式(14)3次元の回転群であるO(3)の内部ベクトル空間を持つゲージ場理論の結果であるが、真空における物理的縦波や、その方程式で表現される基本的スピンの存在を説明する事ができるゲージ場対称が必要とされる。(3)の成分は時間や波数に依存しない{21−24}、よってそれはBarrettの命名するところの大域的量である。{16} これは、マックスウェル-ヘビサイド理論よりも整合性があり、広範囲な電気力学理論の結果である。{16,21−24}つまり、これはまだ未知ではあるがより完全な電磁気学理論へと向かう反復的手順の第2段階の結果である。U(1)理論は明らかに支持し得えない。

 

  マックスウェル-ヘビサイド電磁気学がU(1)ゲージ理論ではないという事実を示す他の明らかな例はジャクソンにより与えられる。{3} もし輻射領域において方向に進む環状偏光波が方向には有限の領域を持ち、ゆっくりと変化する振幅の変調を受けるならば、(その波は多くの波長幅を持つ)その電磁波は近似的に以下で与えられる。

 

       (,,,) » (0(,)(i ± j) + k)eif             (15)

            ; »;

 

これは真空中の輻射領域に成分を持つ。 U(1)の被覆群であり、それと同型な群O(2)は、一方で2次元のみ()の回転群である。よって、輻射領域における電磁場は、通念としての見解であるU(1)によっては表現されない。{13} 群O(2)の空間集合は円であるが、一方でSU(2)に同型でその被覆群である群O(3)のそれは球面である。ゲージ理論での電磁場につての通常の見解は{13}、それが、その群空間が円であるO(2)直交変換と同型な局所U(1)ゲージ変換のもとでの不変性を保証するために導入されねばならないゲージ場であるという事である。しかしながら、もし群空間が円ならば、輻射領域に縦波解は存在できないが、我々は今丁度マックスウェル-ヘビサイド方程式にはそのような縦波解が存在する事を示したところである。マックスウェル-ヘビサイド方程式はU(1)ゲージ理論とは整合し得ない事が結論される。次のゲージ群O(3)はヤンミルズの方程式を生成するが、それから個々独立に電磁場における互いに同型なBarrett方程式{16,17,25}とEvans方程式{21−24}が、前者はSU(2)において、後者はO(3)において導かれる。これは反復的手順の第2段階の結果であり、マックスウェル-ヘビサイド方程式より遥かに豊富な構造を持つ新しい場の方程式である。{3,13} 現在マックスウェル-ヘビサイド方程式では説明できないが、同型であるBarrett方程式とEvans方程式や、それらの方程式に似た構造を持つHarmuth{26}と Lehnert{27}に帰する重要な方程式によって説明できる多くの現象が知られている。{4−12,16−24}

   Whittakerは彼の第2論文{15}の最後で、進行軸()方向の純縦ベクトルポテンシャルを使って電磁場を定義する一般方程式に到達し、以下のように定義し

 

;    ;                                                       (16)

 

電磁場はにより定義されると述べた。どのような条件下の電磁場の電場と磁場の成分も、Whittakerによりガウス系単位を使って以下のように定義される。

 

∇×(∇×)+∇×; ∇×−∇×(∇×);             (17)

これは場の生成源が無い場合を含む。

 

   もし現代流のStrattonの4つのポテンシャルを使うならば

 

                             mº(c,)                                                            (18)

 

ここに        =−∇×S; =−−∇;                                            (19)

現代流4つのポテンシャルは以下で定義される。

              mº(N,c)                                           (20)

ここに           =∇×;  =−−∇N                                (21)

S.I.単位系では、真空を含むすべての条件下で以下の事がストレートに示せる。

                   =−∇×;                                          (22)

=−∇×                                                             (23)

 

よって一般にベクトルポテンシャルStrattonポテンシャルンの両方共、真空において縦成分を持つ。これらは物理的存在である。の横成分は、方程式(22)(23)に示される、より基本的なfから生成される。現代の文献で通常見過ごされている真空中のの横成分は以下である。

              ;   =−;                                                    (24)

                ;      =−;                

 

Whittakerにより、真空を含むすべての条件下で与えられる縦電磁場成分は

             

;   ;                             (25)

これらは再度言うが、現代の文献では見過ごされている。

 

   Whittakerの一般理論はダランベールの方程式に基礎を置き、現代のゲージ理論の分類ではいまだU(1)対称となっている。U(1)ゲージ理論は明らかに、真空を含むすべての条件下で縦波解を生成するので、そのような真空解が純粋に横波解でなければならないとする現代的見解は誤りである。

Whittakerは輻射領域において一般に縦波解が存在する事を正確に示した。U(1)電気力学の概念{13}ではすべての輻射が平面波の形である事を意味するように解釈する事はできない。正しい解釈はラグラジアンがU(1)変換のもとで不変であるという事である。もしそうなら、Whittakerにより示されたように横波と縦波成分の両方が存在する。

 

  Whittakerを電磁場の物理的特性と見なした。それぞれは次をみたす。

                     =0;            =0,                          (26)

 

これは、についての真空中のダランベールの方程式であると同様、質量無しのKlein-Gordonの方程式でもある。これらの方程式は以下の形のラグランジアンから得られる。

                                                             (27)

このラグラジアンはU(1)ゲージ変換のもとで不変である。

                     ―>e-iv;              ―>eiv                               (28)

 

よって方程式(26)もU(1)ゲージ変換のもとで不変であり、その一般解は{14、15}

            (29)

                 (30)

 

ここにはその独立変数の任意の関数である。この任意性がU(1)ゲージ変換、e-ivの両方(29)のタイプの一般解を持つ事を説明する。

 

   故に我々は再度現代的見解から離れる、なぜならからe-ivへの変化は、現実の物理的位相の偏移を引き起こすからである。この考え方に沿って、我々は現代的非可換ゲージ理論の概念にたどり着き、その理論では内部ゲージ空間内での新向き付けは、観測可能な物理的位相の偏移を引き起こす。Whittakerの理論では、ラグラジアンがU(1)ゲージ変換のもとで不変である理論により、一般に輻射領域内で0でない,,,そしてが存在する事に気づく。電磁場は、Whittakerの縦ベクトルポテンシャルを使って完全に定義される。(1)理論によるところの、輻射領域に縦波成分が存在しないとする現代的見解は、従って誤りであり可能なまでに混乱している。

 

   よってWhittakerは、現代の非可換ゲージ理論の多くが古典的電気力学に応用されるのを予期した。縦ベクトルポテンシャルの実験的効果は良く知られている{28}がマックスウェル-ヘビサイド方程式の現在の解釈では説明できない。J.C.マックスウェルによる古典的電気力学のオリジナルの方程式には、ファラデーの電子状態は物理的べクトルポテンシャルであり、その用語はマックスウェル自身により初めて導入された。{30} mポテンシャルが直接物理的意味を持たない数学的1道具に貶めたのは、その後のJ.C.マックスウェルの方程式に対するヘビサイドの解釈である。O(3)電気力学(第3章)において、マックスウェルの本来の意図が復活される。

 

   真空中のの横波部分に対して平面波を使えば、S.I.単位系では

                           ic                                        (31)

方程式(22),(23),(31)から、矛盾なく以下を得る。

                           i;     i                           (32)

に対するこれらの横波平面波を得るための、関数に対する可能な解は

 

                           ()                       (33)

                           Gk                                                        (33a)

 

であり、これは以下を与える。

                     =−∇×()i(wt-kZ)                            (34)

                     =∇×()i(wt-kZ)                       (34a)

重要な事は、真空中にベクトルポテンシャルの縦方向伝播成分が存在する事である。

 

                     k=−k()i(wt-kZ)                (35)

これは今日の教科書では見過ごされているものである。{32} 例えば、それは輻射とクーロンゲージにより禁じられている。縦ベクトルポテンシャルは横波磁気平面波を引き起こす。

 

                     =∇×=−()i(wt-kZ)                   (36)

 

電場は以下で定義される。

                     −∇N i()i(