第2部 真空中の古典的電磁場のWhittakerによる表現について
場のないポテンシャル
The Modern Whittaker papers
#30 On Whittaker’s Representation of the Classical Electromagnetic
Field in Vacuo,Part U: Potentials Without Fields
概要
Whittakerは真空中の古典的電磁場を、その振幅がFとGとなる2つの縦方向磁束を使って表現した。その各々は、マックスウエル-ヘビサイド方程式からローレンツ条件を使って導かれるところの、真空中のダランベールの方程式に従う。この論文では、真空中の古典的マックスウエル-ヘビサイド真空方程式の解が、FとGから導き出されるポテンシャルを使って表現可能である事を示す。明確に定義された条件下で、場のないポテンシャルが存在する。FとGはゲージ不変でかつ物理的量であり、真空中の4つのポテンシャル表現も又物理的かつゲージ不変である事が示される。これはヘビサイドの見解とは矛盾し、ベクトルとスカラーポテンシャルを古典的レベルでの物理量とするマックスウエルとファラデーの見解と合致する。それ故、現代の物理言語では、U(1)ゲージ理論として表現される電気力学にはゲージ自由度がない事が証明される。WhittakerのFとGは真空中の(縦)進行方向の磁束fとgの大きさなので、すべての物理的状況において磁束密度は存在しなければならない。これは非可換電気力学のEvans-VigierのB (3)で、O(3)対称な物理的内部ゲージ空間を持つヤンミルズ、ゲージ理論である。B (3)場はWhittakerの物理量FとGを使って直接に表現できる。又時間性及び縦性光子が物理量である事、そして光子への正準量子化はFとGについてのダランベールの方程式からストレートに起きる事が示される。なぜなら、それらは古典的スカラー場に対する質量のないKlein-Gordon方程式であるからである。
キーワード
WhittakerのFとG、物理ポテンシャル、B (3)場、物理的時間性縦光子
1. 序論
Edmund
Whittaker卿{1,2}は、真空中の電磁場を2つの磁束を使って表現したが、それらはマックスウェル-ヘビサイド方程式により表現される真空中の電磁場の進行方向軸に沿って縦方向のベクトルfとgである。fとgの大きさはスカラー磁束FとGにより記述されるが、そこから現代的4ポテンシャル
が導かれ、真空中にあるすべての電磁場成分が導き出される。この論文では、FとGはゲージ不変かつ物理量であり、よって
も又この性質を持つ事が証明される。質量のないKlein-Gordon方程式であるFとGのダランベール方程式の正準量子化に際して、スピン1の質量無しのボソンの概念が直接的に引き出される。これが光子である。これは物理的横成分と同様に物理的時間性縦成分を持つ事が示される。ゆえにWhittakerの研究を注意深く発展させる事により、現代の文献にあるいくつかの主張とは正反対の、そしてベクトルとスカラーポテンシャルが通念的な物理的量ではないとするヘビサイドの見解とも正反対の結論を導く。古典的電磁場のU(1)表現のゲージ自由性が誤った概念である事が示される。最後に真空中の縦磁束fとgの存在が、すべての物理的環境下で、真空中の縦磁束密度の存在を示唆する。これはEvans-VigierのB (3)場で、その適正な発展はU(1)とは異なるゲージ理論内で為されなければならない。これがO(3)対称な物理的内部ゲージ空間を持つヤンミルズの理論である。B (3)場は真空中のマックスウェル-ヘビサイド電気力学では定義されない。ゆえにWhittakerの研究{1,2}の発展及びWhittakerの研究の直接的論理的帰結として、電気力学に応用できるゲージ理論の発展により電気力学は相当豊かなものとなる。
2.
の横成分のゲージ不変性の証明
電磁場の電気、磁気成分はWhittakerにより、古典的真空を含むあらゆる状況下において以下で定義される。
B=−∇×(∇×
)+
∇×
(1)
E=
∇×(∇×
)+∇×
(2)
ここにfとgは真空を含む全ての状況下で縦(Z)軸、進行軸方向である。方程式(1)は以下の変換で不変である。
;
(3)
ここに
と
は任意である。これは次を意味する。
(4)
ベクトルポテンシャルの横成分は以下で定義される。{11}
(5)
よってそれはゲージ不変であり物理量である。横成分
はゲージ自由度を持たない、言い換えると、それはU(1)ゲージ変換、
(6)
のもとで
は物理量であり、古典的レベルで観測可能である事を意味する。この結論を実証する、いくつかの実験はBarrett{12}により与えられた。
方程式(1)よりベクトルポテンシャルは一般に以下で与えられる。
(7)
Strattonポテンシャル{11}は
(8)
ゆえに一般に
と
の両方とも縦横の成分を持つ。ヘビサイドの見解に反して、Strattonの4つのポテンシャル
の空間性、時間性横成分も又物理量であり観測可能な量である事が、上述に似た議論で示される。
真空中の磁束の大きさFとGは、無質量の粒子に対するKlein-Gordon方程式、即ち古典的場に対するダランベール方程式に従う。
F=G=0 (9)
もしU(1)ゲージ条件がこれらの方程式に適用されたなら、我々は次式を得る。
=
=0 (10)
よって
と
はU(1)ゲージ変換についての通念の見解により要請されるような任意なものではない。ゆえにfとgは、Whittakerにより証明されたように、物理量であり観測可能である。fとgが物理量であるからには
は物理量であり、そして
の横成分も物理量である。
3.
の縦成分の物理的性質
現在受け入れられている見解では、真空中に物理的縦ベクトルポテンシャルがなく、縦性
には付随する時間性成分がないと主張されている。この見解を反証するために次の方程式から始める。
(11)
(12)
そしてマックスウェル-ヘビサイド方程式からダランベール方程式を導くにあたり、Whittakerにより使われたローレンツ条件は、
(13)
ここに
は
の時間性成分である。方程式(11)を微分して、
(14)
そして方程式(13)より、
(15)
ゆえに
=
=![]()
=
(16)
=![]()
=![]()
真空中の古典的電気力学において、物理的横成分が存在する。
=
(17)
そして物理的縦成分は
=
(18)
なぜなら
は物理的量だからである。ゆえに正準量子化において、物理的縦光子とそれに付随する物理的時間性成分が存在する。定義により
=
(19)
真空中の輻射領域で、横成分
が平面波から構成されている特別の場合には、FとGの間に直接の関係が存在する。
(20)
=
(21)
ここで電磁気位相は以下で定義されるとする。
(22)
ここに
は時間
におけるの角周波数で、
は系(X,Y,Z)の点Zにおける波ベクトルである。
この場合、
(23)
これは必要とされるローレンツの条件に従う。
(24)
真空中の縦ベクトルポテンシャルは光性である。
(25)
そして
(26)
と書ける。ここに
であり、ポテンシャル
は、古典的場のKlein Gordonの方程式を満たす。
(27)
方程式(27)から、良く知られている正準量子化の手順により、物理的縦光子とそれに付随する時間性光子とがもたらされる。方程式(27)のラグラジアンはネーターの定理により得られ、それは
(28)
これよりエネルギー運動量テンソルが得られる。
![]()
(29)
そしてハミルトニアンは
(30)
S.I.単位系で、ハミルトニアンは正定値形式でなければならない。
(31)
ここに
である。それ故、Rは光ビームの半径と解釈できる。
以下の関係式を使うと、
(32)
(33)
(34)
次のハミルトニアンが正定値量となる。
(35)
(36)
Evans-Vigier場
を使うと、これは真空中の定められたビーム半径に対して、
(37)
これは定まった側面領域を持たない平面波の概念の改良である。物理的光ビームは定まった側面領域を持つ、即ち定まった半径を持つ。
ゆえに、Whittakerの研究はO(3)のレベルに拡張された時{11}、明らかに
場の存在を指し示し、それは磁束fとgに関係した磁束密度である。磁束密度なしに磁束を定義する唯一のやり方は、領域Rが無限の場合である。平面波がこの可能性を許すが、すべての光ビームは有限のRを持つ。ゆえに
は、Whittaker研究の直接的結果にあるように、真空を含むあらゆる物理的状況下で存在する。{1,2}
ラグラジアン(28)は大域的ゲージ変換(タイプ1のゲージ変換)のもとで不変である。
;
(38)
しかしタイプ2の局所ゲージ変換のもとでは一般に不変ではない。{13}
(39)
(40)
それで、縦ポテンシャル
は物理的量で、方程式(27)から良く知られている正準量子化の手順により物理的縦光子と時間性光子が存在する。この結論は現在受け入れられている見解とは矛盾するが、その見解では、Gupta-Bleuler条件で解釈したローレンツゲージの正準量子化に基礎を置き、その手順により時間性光子と縦光子の混合物のみが物理量であるとする結論に陥った。{13}
WhittakerのFとGを無視した事は20世紀電気力学の重大な誤りである。なぜなら縦波とそれに付随する時間性波は電磁気実体に常に存在するからである。「横方向場」として知られる実体はFとGの微分である。ある状況下では、場のないポテンシャルが存在し得るが、ポテンシャルのない場は存在し得ない。よって、ポテンシャルはより根本的なものである。最も根本的な実体はFとGである。
4.fとgの物理的性質の更なる証明
4つの縦ポテンシャルは以下で定義される。
(41)
そしてもし通常のU(1)ゲージ変換則を試すと{13}
(42)
即ち
;
(43)
よって
;
(44)
そして
(45)
ゆえに量
は変換則(42)により要求されるような任意なものではない。 方程式(45)は例えば以下の
に対して満たされる。
(46)
それで、
(47)
ここに
(48)
(49)
そして
;
(50)
全体としての結果は
(51)
もし例えば
(52)
ならば
![]()
(53)
![]()
となり以下のような場ではその強さが2倍になる。
(54)
が物理量であり、ゲージ不変である事であり
である。定義によりこれは通常の見解では場は変化しない事を意味する。
磁束FとGはゲージ不変で物理量である事が結論される。
5.U(1)場の存在しない物理ポテンシャル
横波平面波の特別の場合、
(55)
電場と磁場は以下のように表現できる。
(56)
(57)
次の条件下で、
(58)
すべてのEとBの成分は消える。この条件は次の方程式により満たされる。
(59)
この方程式の解は
(60)
これは
を与える。
(61)
(62)
(63)
よってU(1)場がない場合でも、縦横両方の物理ポテンシャルとそれに付随する時間性成分が存在する。O(3)レベルでは以下が示される。{11}
B(3) =−![]()
=−![]()
(64)
それでB(3) は(58)の条件下で存在する唯一の場であり、有限のRでの真空中のfとgに伴う磁束密度である。
6.真空中の縦波定常波
もし解Gを以下のように選ぶと、
(65)
次のダランベール方程式の解となる。
(66)
方程式(65)の実数部分は
(67)
これは真空中の定常波で、進行軸に沿っている。{14} そのような波は現状の電気力学の見解では存在しないが{13}その存在がBarrettにより指摘された。{12}全体としての結果は、
(68)
これは振動弦の問題の解である縦波定常波である。Whittakerの研究はマックスウエル-ヘビサイド方程式に端を発するので、現代的見解{13}に反してこれらの(方程式の)解もそのような波を与える。電磁波が横波でなければならないとするのは明らかに誤りである。例えば場が存在しない時でも、物理的ポテンシャルの間の相互作用はあり得る。縦横物理的ポテンシャルと時間性成分の間の相互作用があり得る。これは物理と工学に対する重大な影響を持つ。
謝辞
Internet discussions with many colleagues are acknowledged with thanks, together with
funding for individual members of AIAS (Alpha Foundation’s Institute for Advanced Study).
参考文献
{1} E.T. Whittaker, Math. Ann., 57, 333 (1903).
{2} E.T. Whittaker, Proc. London Math. Soc., 1, 367 (1904).
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{4} B. Lehnert and S. Roy, “Extended
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1998).
{5} T.W. Barrett and D. M. Grimes (eds.), “Advanced Electromagnetism” (World
Scientific,
{6} M.W. Evans and S. Kielich (eds.), “Modern Nonlinear Optics”, a special topical
issue of I. Prigogine and S.A. Rice (series eds.), “Advances in Chemical Physics”
(Wiley,
{7} H.F. Harmuth, “Information Theory Applied to Space-Time Physics” (World
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{8} M.W. Evans, J.-P. Vigier,
Academic,
{9} M.W. Evans and L.B. Crowell, “Classical and Quantum Electrodynamics and the B
Field” (World
Scientific,
{10} M.W. Evans and L.B. Crowell, Found Phys. Lett., in press, (1999), two papers on
SU(2)×SU(2) electroweak unification; special issue of J. New Energy on the AIAS
group papers (1999).
{11} AIAS group paper submitted to Found. Phys., “On the Representation of the
Electromagnetic Field with Two Whittaker Potentials.”.
{12} T.W. Barrett in A. Lakhtakia (ed.), “Essays on the Formal Aspects of
Electromagnetic Theory” (World Scientific, Singapore, 1993).
{13} L.H. Ryder “Quantum Field Theory (Cambridge, 1987, 2 nd ed.).
{14} J.B. Marion and S.T. Thornton, “Classical Dynamics” (HBJ, NY, 1988, 3 rd ed.), p.
477, eqn. (13.25).