「BREAK THROUGH SCIENTTISTS REAT 」(科学者の発見が重力を打ち負かした)
by Robert Matthews and Ian Sample
世界初の反重力装置の全容がフィンランドの科学者達によって明らかにされようとしている。装置の幅は約30m。物体が何であれ、その装置の鉛直上にある物体の重量を減少させるという装置である。
技術革命の発火点ともなり得るこの主張に関して、科学者達は綿密な調査を行なった。そして来月、科学雑誌に掲載されることとなった。重力はこの宇宙に最も広く存在する“力”であり、それに抗することが出来るということは、交通から発電に至るまでの総てが変容してしまうことを意味する。
サンデー・テレグラフの得た情報によると、NASA(アメリカ宇宙局)は、この主張を真剣に受け止め、反重力効果がどのように飛行手段を変革できるかについての研究に資金援助を行なうようである。この装置の効果を発見したフィンランドのタンペレ技術大学の研究者は、この装置によって液体を発電タービンに送りこむ方式を使えば、新しい電力源の中心的存在となり得ると言う。
他の使用方法はまだ想像の域を出ないが、ビルのエレベーターはこの装置に取って代わられるかも知れない。上に行きたい人は、反重力装置を作動させるだけでよいーその人の重量が消えー小さな力で押してあげればその人の行きたい階へと上がって行く。
地球の引力に抗する為、ロケット技術は常に費用と危険を伴ってきた。それに比べると宇宙旅行も日常的なものとなるであろう。この装置を使って液体を重力に反して持ち上げ、そして既存の重力を使って地上にある発電タービンへと落下させる。この装置は発電技術に革命をもたらすかも知れない。
この調査を行なったエージン・ポドクレトノフ博士によると、発見は偶然に起こった。それは博士の研究対象であつた“超電導”の研究の最中のことであった。超電導とは、ある物質が持っている非常に低い温度において電気抵抗を失う能力のことを言う。クライオスクツトと呼ばれる低温の容器の中で、三つの電気コイルが磁場を発生する。その磁場の中に浮かび、高速で回転する超電導セラミックディスクに関する実験を調査チームは行なっていた。
ポドクレトノフ博士の言「友人がパイプを吹かしながら実験室に入って来ました。すると、彼の吹かすたばこの煙がクライオスタツトの上に来ると常に天井へと上って行くのが見えるのです。何故そうなるのか私達には説明が着きませんでした」。この装置の鉛直上にある物体には、小さな重量の減少が見られるという実験結果が得られたが、まるでこの装置が物体を重力の影響からシールドでもしているかのようである。ほとんどの科学者にとっては、このような効果はあり得ないことだ。「私達は、これは何かの間違いではないかと考えました」と、ポドクレトノフ博士。「しかし、(実験には)細心の注意を払いました」。それでもこの不可思議な現象は見られ続けた。調査チームは、この装置の鉛直上の大気圧すら小さな減少が見られることを発見した。この装置の鉛直上では、研究所の全ての階でその効果が見られた。最近多くの“反重力”装置と言われるものが、アマチュア、専門家の双方から提唱されているが、その全ては学会から拒絶されている。この最新の反重力装置のどこがそれらと異なるかと言えば、それは、それに対し懐疑的な独立専門機関による綿密な調査を通り抜けてきたことにあり、また、英国物理協会の出版しているJournal of Physics-D:Applied Physicsに掲載されることとなったことにある。
そうとは言え、他の研究チームが追実験を行なうまでは、ほとんどの科学者にとって“反重力”というアイデアはあまり気分の良いものではないであろう。この反重力効果とは、長らく探し続けられてきたアインシュタインの一般相対性理論の二次的効果と言われているものではないかと考えている科学者もいる。それは、この二次的効果によって回転する物体が重力に歪みを発生するというものである。
今まで、このような効果は研究室で計測するには余りにも小さく、計測できないのかも知れないと考えられてきた。
しかし、アラバマ大学の研究員であるニン・リー博士は、超電導体内の原子がその効果を大きく拡大しているのかも知れないと述べている。彼女の研究にはアラバマ州ハンツビルにあるNASAのマーシャル・スペース・フライト・センターが援助している。また、そのアドヴアンス・コンセプツ・オフィスのウィット・プラントリー氏は「現在調査中です、調査しないことには何も分かりませんから」と言っている。フィンランドのチームは既にプログラムを拡張し、反重力効果を増幅できるかどうかを研究中だ。最新の実験では、この装置が鉛直上にある物質の重量を二%減少させ、もう一つこの装置を鉛直上に置くとその倍の減少が計測されることが分かった。
〔1996年9月1日号「サンデー・テレグラフ』(英国)、P3より〕